地震にまつわる税務の話 その21
前回災害によって生じた欠損金は法人の場合青色申告、白色申告に係らず7年間繰り越せる、という話をしました。
今回は「繰越す」のではなく「さかのぼる」という話をします。
震災により棚卸資産等に損失を被った事により欠損金が生じた場合は、その前の年及びまた前の年にまでさかのぼって税金の計算をやり直した上で税金を返してもらいます。
例えば震災によって店にあった商品が水につかり全く商品価値がなくなってしまってその損失が300万になったとします。
3月決算の会社で地震までに50万円の利益をあげていたとすると今年の所得はマイナス250万となります。
この会社が毎年100万円の利益をあげていたとするとマイナス250万円を前年と前々年から差し引き前年及び前々年の所得を0にします。
これにより前年と前々年に支払った法人税がかえってきます。
残ったマイナス50万円は翌年以降に繰越すことが出来ます。
この制度を使う為には「更正の請求」という特別な手続きが必要になります。
ちなみに個人事業主の場合は22年の損失とする事が出来る上にそれでもマイナスとなる場合は21年の所得から差し引き所得税を返してもらう事が出来ます。
稲葉孝の『週間得する税務講座』|2011年9月14日