読書の秋
最近読んだ本でおもしろかったものを紹介したいと思います
「空飛ぶタイヤ(上)(下)」池井戸潤 講談社文庫
第145回直木賞を「下町ロケット」で受賞された池井戸潤さんのいわゆる経済小説、企業小説です。フィクションですが、三菱自動車による横浜母子3人死傷事故やそれに伴うリコール隠しがモデルとなっています。あらすじは以下の通りです。
走行中のトレーラーのタイヤが脱輪して歩行者の母子を殺傷した。財閥系大手自動車メーカーのホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松社長の前を塞ぐ大企業の論理。警察の家宅調査。タイヤ殺人事件でマスコミは大騒ぎ、被害者からは殺人者よばわり。大口のお客からは仕事を断られ、銀行からは融資を引き上げられる。さらに小学生の子供はイジメにあうなど家族は周囲から孤立。運送会社は資金繰り破綻の崖っぷちにたたされる。
上・下巻と長編ですが、おもしろくて一気に読んでしまいました。ちなみに池井戸潤さんは元三菱銀行員。銀行を舞台にした企業小説もいくつか書かれています。本書でも財閥系自動車メーカーと系列の銀行との駆け引きも見所のひとつ。
おすすめです。 杉山
テーマのない?コラム|2011年10月14日